真剣の味。

 これこれ。こんなに楽しいものはない。

ACL準々決勝第1戦:浦和 2-1 全北現代
得点:4'長谷部誠(浦和)59'田中達也(浦和)91'チェジンチョル(全北現代


 いよいよ始まったACL決勝トーナメント。相手は、昨年の王者で予選免除の全北。カップ戦の鬼らしいというのが不気味だったのですが。いざ戦ってみると、予選でやった上海申花と大差ないレベルの手応え。前線の外人2人にスピードがない分、むしろやりやすかったくらい。布陣は箱型4-4-2。
 浦和はボール持った時には丁寧に丁寧に最終ラインからパスを繋いで、スキを見ては引いてのポストと裏狙いの飛び出しを繰り返す2トップに当てたりしてちょっかいかける、というのを根気良く繰り返し。相手ボールの時も下がりすぎることなく、普段のリーグ戦の時とは一段階違う出足の鋭さと帰陣の早さで速攻を許さず、相手のポストプレイにはDFが抑えてボランチで挟むという鉄則通り。逆にボール奪取に成功すれば、意外と前に出てくる全北にカウンタから決定機作ったり。結果としてやってることはいつもの自然体サッカーと大差ないようですが、気遣いの繊細さが違いました。ほぼ万全だったんじゃないでしょうか。結果以外は。あと采配と。なんとかアウェイゴールをと気持ちの悪いフェイント仕掛けて幻惑する10番やらを投入して勝負賭けてきた全北に対し、丁寧にコツコツ「万全」を積み上げてきた裏でジワジワと消耗していった選手を例のごとく放置する浦和。そして、もうロスタイムというところで相手のCK時という最悪のタイミングで内舘投入。その内舘が守備に入ってくる前に蹴られてバタバタし、まんまと失点という。ふーん。
 とにかく来週。残り90分。今日の試合見ると引き分け以上という条件は難しくない、と思いたいですが。ホームとアウェイでガラッと変わるのがACL。上海戦もアウェイではなんとか引き分けでしたから。オジェックは、1失点は集中欠かないで出来るから悪くないとか、本気か知りませんが言ってるようですが。もちろん集中ではなく消耗が敵です。
 ちなみに川崎の方は、アウェイで0-0と、こちらも微妙な結果だようです。流れが行ったり来たりな試合でしたが、決定機の数では上回っていただけにせめてアウェイゴールを奪っておきたかったところですか。しかし、こういうホーム&アウェイでは一般に2戦目ホームが圧倒的有利と言いますけど、2戦目ホームだと行って帰ってで2回移動して戦わないといけないという不利があるんですね。普段の日本国内とか、あるいは欧州CLなどでは、不利とも感じないようなことですけど、こんな日本−イラン間ともなるとダメージになりそうな。まあ、頑張ってください。

 以下、選手短評。

都築:あいかわらずのポストの神降臨ぶりに加え、試合中もシュート撃たれる度に味方にガン切れする気合も見せました。
坪井:好調キープでその丁寧な仕事振りは安心して見れる出来。積極的なオーバーラップも度々。
闘莉王:こちらも疲れてはいるんでしょうが、集中力振り絞り、ライン下げすぎないよう押し上げる。ただ前線に張り付くのではなく、中盤に進出して組み立てを助けながら、機を見てゴール前まで出て行くという、これくらいの攻め上がりがバランス的にベストか。
阿部:久しぶりの実戦でしたが、守備は全く問題なし、得意の出足鋭いインタセプトを連発。ただ、ボール持った時に丁寧さ欠いたパスも。これは実戦勘というより、元々そういう粗さはたまに見せる選手ですので。
山田:立ち上がりはまずまず元気だったんですが、何度か立て続けに裏狙われたことで急にションボリし、気持ちが後ろ向きに。結果、味方がパス出そうとする時に、いて欲しいポジションより何メートルか後ろにいてパス通らず、という場面が再三。山田さんの力は絶対に必要なだけに、前向きになってもらわないと困ります。
平川:豊富な上下動で攻守に貢献。ボール持ってもなかなか縦にはいけませんでしたが、タイミングぴたりの飛び出しもありましたし、中に入っての味なパスもあったりで、好調は維持。
鈴木:疲れをほとんど感じさせない丁寧な仕事ぶり。素晴らしいの一言です。
長谷部:この前の広島戦でのごっつぁんゴールで気分良くしたのか、ついにシュート決める。長かった…。その後も攻守にノリノリで、フル回転で飛ばす。おかげで最後はガス欠気味で、終盤の決定機での痛恨スルー啓太大激怒などもありましたが、90分持たないくらいの勢いでいってこその長谷部です。
ポンテ:好調とはいえないまでも、粘っこさは発揮。やはりタフな試合で良くなってくるタイプ。来週は頼りにしてます。
永井:こちらは元気。達也とのコンビネーションで崩そうという意図の見えるポジショニング取ったり(あまりの達也の外しっぷりに途中で切れかけてましたが)、守備の意識もいつになく高かったりで、機能性を感じさせる。機能性とか永井とは無縁な言葉だと思ってました。次はワシントン戻ってきますけどどうしますかね。
田中:やー、外したなあ。ダメな時のワシントンと同じような外しっぷり。表情に切迫感が。なんとか1点だけは取るというのも似てます。うーん、体調自体は悪くなさそうなので、第1FWとしてワシントンが戻ってくれば改善されそうな気もしますけど。


小野:79分、ポンテと交代。相手が前がかりに来てた場面で、守備を頑張るのかカウンタの起点になるのか、どっちつかずで試合に入れず。
内舘:90分、達也と交代。内舘が悪いわけではありません。