頼まれる者。

 「もう飽きた」と書いたこの前の清水戦ですが、前半だけビデオで見返したらちょっとポジティブな気分になったので補足。
 J'sGOALでも「またもワシントン」「頼みのワシントン」とか書かれてた清水戦。確かに「ワシントンが鬼の決定力でもぎ取った1点を守りきる」という試合のあらすじだけ読めば、またワシントン(と守備陣)頼りで勝っただけの試合なわけですが。ただ、前半の内容には「ワシントン頼り」から一歩進んだものが見えてたような気もします。これまでの「ワシントン頼り」というのはボールをゆっくり持って、あとは中盤の選手のヒラメキでごにょごにょっとして、最後は大砲ワシントンが何とかするという遅攻型の戦い方でしたが、清水戦では速攻寄りに少しシフトしてました。なんでシフトしたかというと、それもワシントンのおかげだったわけですが。
 清水戦では、ブッフバルトの指示だったのか、田中と話し合って申し合わせが出来ていたのか、頼りにされたワシントンがやる気出して自発的にやったのか知りませんが、非常に前からのチェックに意欲的で。ワシントンが向こうの最終ライン、場合によってはGKにまでファーストチェックを仕掛ける姿が目立ちました。これまでは大砲役としてどこかチームの中で別枠という感じだったのが、エースとしての自覚に目覚めてチームを引っ張ろうとし始めたと言いますか。「ワシントンが行くなら俺も」と意気に感じた田中、山田も呼応してセカンドチェックに、さらに元気になってきた長谷部も飛び出してくる、三都主も調子にのる、という形で、何度か高い位置でボール奪えてました。で、ボール奪えるならまた行くぞとワシントン張り切る、という好循環も見られました。後半、山田の電池が切れ、田中に代わって空気を読まない永井が入ってからは、ワシントンチェックに行く→でも永井付いてこない→ボール奪えない→何だよ無駄走りかよとワシントンぐったり、という悪循環で急失速しましたが。
 大砲ワシントンにおんぶにだっこで依存した戦い方をするのは不健全ですが、ワシントンは大エースなんですからある程度頼みにするのは当然のこと。エースのプレイに引っ張られて、チーム全体がうまく回っていくというならむしろチームとしては健全な姿です。次も、後半のことはすっぱり忘れて、前半の好循環のところだけ思い出してワシントン頑張れ。


※補足の補足:速攻型にうまくシフトできた原因には、他に山田の存在もあります。この日の浦和は、相手のプレスを避ける意図か、ロングボールを多めに使ってました。これまでだとそういうロングボールにはワシントンが嫌々競りに行ってたのですが、後方からのロングボールの競り合いにやたら強い山田がいれば代わりに競って、しかもかなりの確率で勝ってくれます。そうすると、仕事から解放されたワシントンと田中の2人でこぼれ球を狙いに行けるので、前からのプレスが効きやすくなるという。