ポンテプチ復活祭。

 後回しにしてたロブソン・ポンテを本気で考える回。
 そもそも、開幕前のゼロックス杯のレビュウでは、「チームのエースは、小野でもワシントンでもなくポンテ」と書いておきながら、操縦法が繊細なワシントン、大して活躍はしてなかったけどマスコミにはやたら取り上げられる小野という新戦力に気を取られて、ここまでポンテのことをあまりになおざりにしすぎてました。しかし、一周回ってきて改めて考えてみると、ワシントンがいくら点取ろうと、小野が爆発起こそうと、やはりエースはポンテ。というか、2人が活躍する前提がポンテ。ポンテが攻撃のファースト・オプションとしてどっしりと存在することで、ワシントンは後ろに下がってきてイヤイヤポストプレイをする必要も薄れてフィニッシャに専念できるし、小野は一発のあるセカンド・オプション、「恐怖の7番打者」的なお気楽な立場で、のびのびプレイできるようになるのです。

 で、その「前提」であるポンテが活躍するための更なる前提が、右サイドの人選にあったという話。
 ポンテという選手の武器は、ウナギイヌっぽい見た目通りに粘っこいキープ力とヌルヌルと抜けていくドリブル。狭い局面の中で、小さな穴を見つけてそこを無理矢理こじ開ける力にあります。去年、大活躍してた頃も、純粋なトップ下として君臨してたというより、しばしば右サイドのスペースに逃げてきて。そこで前を向いてボールもらっての、1対1もしくは2対2で突破、クロスというウイング的なプレイでチャンスメイカとして機能してたわけです。
 それが、今年に入って。第5節横浜戦くらいまでは良かったんですけど、第7節福岡戦での小野故障による組み換えで平川が右サイドに入ったあたりから、急激にパフォーマンスが低下(第8節京都戦のレビュウでは3点つけて腐った死体呼ばわり)。ポンテの短所である、視野が広くなく、あまり先のことまで考えが回らないので、トップ下にしては周りを活かすのがヘタであるという部分が出てきてしまったと。これまでのレビュウで「平川はポンテと相性悪い」と書いてきましたけど、逆もまた真で、ポンテにとっても平川は持ち味を殺される相方だったみたいです。
 平川は、サイドのスペースに飛び出してボールもらってはクロスを上げるというのを延々繰り返すサイド職人。周りに使われてなんぼの選手。そうすると、ポンテにはボールをキープしながら平川の上がりを待って、それを使うというプレイが求められることになるわけですが。ポンテは周りを使うより自分で何とかしたい人ですので、そういうの嫌なのです。しかもこれだと相手を背負ってのキープが増えるので、ガツガツ削られるし。おまけに、平川はサイドにべたっと張りついてるものだから、行き詰った時の避難場所である右サイドのスペースも食い合う形になってしまい、窮屈になってストレス溜まるばかり。肉体的な疲労には強い選手ですけど、精神的なストレスにはだいぶすぐキレます。特に審判に。
 それが、右サイドが山田になると復活の兆しが見えたというのは。山田は、サイドやらされるのが嫌で嫌で仕方ないという大人げない人間。平川に比べて、サイド裏のスペースに飛び出すという意識は薄く(たくさん走らなくてはいけなくて疲れるので)、その分、重心は後ろ目で、中央進出の意識も強い。それがポンテには好都合。右サイドのスペースを気兼ねなく使い放題ですから。それに山田はキープ力があってパスも出せるので、平川の時は最終ライン→ポンテ→平川というボールの流れでギクシャクしまくってた(最終ライン→ポンテのところでキープできずに潰れるか、ポンテ→平川でリズムが合わず滞るか)のに対して、最終ライン→山田→ポンテとなると遥かにスムーズ。鹿島戦の1点目はまさにこの流れからの得点。キープは山田がしてくれるとなると、求められる役割が減るポンテはストレスも軽減されて、サイドに流れてのチャンスメイクに思う存分力を注ぐことができるのもプラスです。


 ということで、今後は右サイドは山田で固定すべきだと思います。全ての大前提・ボランチ鈴木啓太に次ぐ前提ですから。ただ、中盤に欠員が出て、山田がそちらの穴埋めに回る場合もちょいちょいありそう。その時は昨年後半のように、平川よりも、サイドだけでなくゴール前への意識も強く、妙にポンテとウマが合う岡野か、とりあえずキープ力はある永井の方がまだいいかと思います。この2人だと、守備面でポンテに負担がかかる可能性はありますが。本当は酒井あたりのが良いかとも思いますけど、あいかわらずブッフバルトに冷遇されてて使われる素振りもありませんので。
 長々書きましたけど、つまり私が言いたいのは、今後、浦和が行き詰った時はまず「ポンテが生きてるか」を考えたらいいということ。