天皇杯準々決勝:浦和3-3磐田(PK10-9)

 天才の爆発と王子の本気。

得点:31'前田遼一(磐田)46'福西崇史(磐田)54'永井雄一郎(浦和)63'小野伸二(浦和)80'小野伸二(浦和)81'犬塚友輔(磐田)

 小野。ここにきてコンディションが上がってきた、なんてことではもちろんなく(リーグ終盤から調子自体はずっと悪くなかった)。状況が整ってさえいれば、普通に天才だったということだと思います。この日の小野投入時の状況が、いつもとどう違っていたかというと。

  • 投入直後に0-2にされ、点を取りにいくしかない試合状況。
    • 2点ビハインドという負荷がかかったことでフタが全開になり、チームが一つのうねりとなっていけた。
  • ワシントン不在。
    • 点を取りにいく=ワシントンにボール集める、とならなかったことで小野の点を取りにいく動きが空回りせずに済んだ(これまでは空回りしっぱなしでしたから)。
    • 「動かない」と言われること多い小野ですが、点を取りにいくと決めた時の狙う動き出しの質は実に鋭いです(足は遅いんですけど)。
      • あと、ワシントンは負荷に弱いので、いたらグダグダになってた可能性高い。
  • というか、ブラジル人みんないない。
    • 闘莉王いると最前線でボールよこせよこせ言いますので。
      • 闘莉王は負荷に過剰に反発し過ぎるので、これもグダグダになりやすい。
  • 1トップに位置したのが永井。
    • しかも、永井史上最高の気合の乗りよう。
    • 永井が精力的(!?)に動いてたことで、明確な1トップ2シャドーでなく3トップ気味というか0トップ3シャドーのようになって、小野がアタッカーとして動きやすい形に。
    • この前も「出し手としてより決め手として、FWでの起用の方がまだ良い」とか書きましたけど、今の小野は「周りに合わせよう」とか考えない方がいいです。
      • ただ、長谷部出場停止の次戦、先発ボランチで使われて周りに合わせたりしないか心配なのですが。
  • 小野との交代で平川が下がって、右サイドが山田。
    • だいぶ前にポンテと右サイドの関係について書きましたが、同じようなことが小野にも当てはまるよう。
    • 1トップかサイドかで基点を作って、それに2シャドーが絡んでボール動かしていくというパターンが多い3-6-1では、低い位置でのボールの動かし方に難のある選手をサイドに置くと形が作れなくなりやすいという、選手同士ではなくシステムとの相性ということなのかも。
      • 相馬が三都主に比べて物足りなさ感じるのもそこ。
      • まあ、相馬はドリブルで自分ごとボール前に進めるという持ち味もあるわけですけど。
    • あと、なまじ小野と平川は仲が良いものですから、一緒にいると平川にばっかりパス出すのもいけません。
    • なお、山田本人は試合後「やっぱり真ん中がいい」とあいかわらずなこと言ってるわけですが。
    • そういうサイド職人的な気概を全く持ち合わせてないところが良い方向に働くわけです。
      • 山田トップ下も捨て難いし、ずっと右サイドだとまた不貞寝しだすので、固定しろとは言いませんけど。

 こんなところですか。あと、この日のポンテはいまいちポンテでやや存在感が薄かった、というのもありますが。この爆発を「小野復活!」というのは少し違う気もしますが、条件さえ整えばいつでも爆発できることをはっきり示してくれたのには一安心です。あとは、この爆発的才能をもうちょっと計算できるものとしてどう組み込んでいくかなわけですが。それは来年の課題。

 永井についても書きたかったんですけど、選手短評のところで書きます。