J第14節:浦和2−0川崎@BS。

 やったった。バスコーンやったった。

得点者:'30 田中達也(浦和)、'76 永井雄一郎(浦和)

 再開初戦のアウェイ新潟をポロッと落としてから中2日で迎えた、首位川崎との試合。ワシントン不在による決定力不足をどうしたものか、という課題を抱えての一戦でもあり。私としては普通にFWを増やして2トップで、とか思ってたのですが。ブッフバルトは決然と田中1トップの3−6−1を継続。ドイツ人の頑固さは並ではないなこの野郎。ただ、中盤の構成はだいぶ変わって、長谷部が戻ってきて鈴木とのダブルボランチ、小野が前に上がって山田と2シャドー、そして永井ベンチ行き。
 この組み換えが効いたのか、ブッフバルトの一念が岩のようなグダグダ感をも通したのか、この日は序盤から思いのほか上手いこと回る。特に、機能することを諦めかけていた小野が、ポンテも永井も不在で、周りに自分より立場が下の労働者が揃ったことで、自然と王様化して俄然イキイキと。浦和に来て最高の機能ぶりを発揮。特に前半14分頃に見せた、小野がダイレクトパスで大きくサイドに振る→左に流れていた山田が落とす→走りこんできた三都主がクロス→パス出した後、ゴール前まで小野が走り込んで合わせる(惜しくもハズレ)という攻撃とかもう。それが見たかったんです。
 そして、決定力不足という課題に対しても答えありました。「田中達也復活弾」という、最高に都合のいいのが。前半30分過ぎ、相手のゴールキックを跳ね返した闘莉王が、そのまま勢いで小野とのワンツーでスルスルと抜けて田中にパス。ドリブルでつっかけながら一瞬のスキを見逃さず、左足でズドン。うぉしゃー。得点シーン以外でも、裏狙いすぎだった前の試合とは違って、裏行くと見せて引いて足元で受けたり、サイドに流れたりと、いろいろ工夫して1トップで奮闘。チビッコなのでターゲットにはなれませんけど、ポストプレイは下手ではないですし。川崎DFがいつもの屈強トリオでなく、真ん中に元東京Vの米山という、虐殺経験のあるのが入ってたのもプラスに働いた感はあります。
 しかし、試合の方は。田中のゴールで浮かれる間もなく、3分後に山田がわけのわからないうちに黄紙2枚頂戴して退場。久しぶりに本気でキレる山田見ました。前半のうちに1人少なくなった浦和。これはこれはと思いましたが。既にリード奪っていたのと、FWがスピード型の田中だったことで、「もう引いて守って速攻一本」とチームの意識が完全に統一できたのでドタバタせずに済みました。あと、退場したのが2シャドーの一角という選手交代せずに進められるポジションで、なおかつキャラクタ的にもいなくなってもチームへの影響少ない山田だったことも良かったです。さすが山田キャプテン。
 この後は、前掛かりの川崎が押し切れるか、カメになった浦和がカウンタでトドメを刺すかという、三日前にどこかで見たのと真逆の展開。そして、今度もカメの勝ち。速さの坪井、高さの闘莉王を中心に、読みの堀之内、献身の鈴木、長谷部、勘の三都主、放浪の小野が片っ端からピンチの芽を潰しまくる、完璧な危機管理サッカー。セットプレーとかでなく、流れの中で8人がペナルティエリア内にいたりするという徹底ぶり。そして、守るだけでなく、両サイドの驚異的な上下動でちょいちょいジャブを出して牽制。後半早々には、小野の股抜きパスから平川のガラ空きのアゴへのネコパンチ(KOならず)とかもありましたが。後半30分にヘロヘロになった田中に代わって入った永井が、その1分後に中盤でのボール奪取から猛然と駆け上がった三都主のスルーパスを受けて、ファーストタッチでごちそうさま。これだから一発ある選手は見限れないのです。
 とにかく田中の復活は嬉しい限り。山田退場までの展開も良かったですし、ワシントン復活までは田中1トップで戦う目処もいくらか立ったでしょうか。ただ、3−6−1はちょっとでも中盤いじってバランス崩すとガタガタになりがちなシステム。で、次は山田が出場停止でいじらざるを得ないという。あー、もう。

 選手短評は、明日でも。